「ヘルスケアのOR」第18回研究会 に山本理事が登壇いたします(2023年11月30日)

日本オペレーションズ・リサーチ学会/一般社団法人ヘルスデータサイエンス学会共催シンポジウム

「ヘルスケアのOR」第18回研究会
日 時:2024年1月21日(日)14:00~17:00
場 所:神戸大学六甲台第2キャンパス工学研究科C2-101
    +オンライン(zoom)

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【プログラム】
-14:00~開会
-14:10~14:50
ヘルスデータサイエンス:共有型意思決定のための臨床予測モデル
手良向 聡(京都府立医科大学大学院)
概要:ヘルスデータサイエンスとは、診療・遺伝子・健康データのみならず、社会や環境、経済等あらゆる内的・外的なビッグデータから価値を見出し、人の健康に関する予測モデルを構築してイノベーションへとつなげる学術である。医療における共有型意思決定(Shared Decision-Making)において、医師と患者の両者は,診断検査と治療的介入に関する選定に関する決定に能動的に参加する。そこでは、診断または予後のリスク推定値を提供する「臨床予測モデル(Clinical Prediction Model)」が重要な道具となり得る。本発表では、いくつかの事例を紹介するとともに、臨床予測モデルの開発と妥当性確認の方法と課題について論じる。


-14:50~15:30
ヘルスデータサイエンスにおけるデータアーキテクチャとデータマネジメント
山本 景一(大阪歯科大学)
概要:生命を救うことが優先される医療現場では、理想的なデータを得ることが困難な場合が多い。医療分野でデータサイエンスを実践するためには、AIや統計学の知識だけでなく、分析対象となる疾患や医療技術評価などの医療分野固有の様々な知識を活用する必要がある。ヘルスデータサイエンスは、“データアーキテクチャ”、“データマネジメント”、“データアナリシス”の3要素で構成される。適切なデータアナリシスを行うためには適切に管理されたデータが必要であり、適切なデータ管理を行うためには適切なデータアーキテクチャ設計が必要である。本発表では、実際の医療現場で得られるデータの生成から活用の実際について、事例を交えて論じたい。
-休憩(10分)


-15:40~16:20
数理最適化による医療資源の効率的な管理
伊藤 真理(神戸大学)
概要:高齢化の進行に伴い、医療需要は増加し続けている。一方で、働き方改革による医師の時間外労働時間の制限に伴い、安定的な医療供給が一層求められている。これらの背景から、医師や設備などの限られた医療資源を適切に活用し、患者に公平かつ迅速かつ質の高い医療を提供することが喫緊の課題である。ヘルスケアにおける数理最適化の適用範囲は多岐にわたり、手術室管理、病床管理や医師の勤務表管理などが含まれる。本発表では、数理最適化を用いた医療資源の管理に関する事例を紹介する。医療資源管理における数理最適化の実課題解決への適用可能性と今後の課題について議論する。


-16:20~17:00
エビデンスに基づくヘルスケア政策の決定-経済性指標の適用を考える―
高嶋 隆太(東京理科大学)
概要:近年,政府や自治体の施策や事業に対して, EBPM(evidence-based policymaking)が浸透しており,ヘルスケアの領域においてもデータやエビデンスに基づく意思決定が必要になるものと考えられる.一方,政策評価に用いられる経済性指標の一つである支払意思額(willingness to pay: WTP)は,社会経済データを用いることや,社会調査・実験により直接的に測定するなど,いくつかの方法により算出される.先行研究において,これらの手法の違いによって値のばらつきが生じることや,地域や国による差異なども報告されている.そこで本研究では,WTPについて,表明選好法,顕示選好法に加えて,効用の期待現在価値を考える数理モデルのアプローチにより推定する.さらに,支払意思額と質調整生存年それぞれの評価の整合性について議論する.
-17:00~閉会